購入したNFTアートを売却するには? 初心者のための安全な売り方ガイド
「NFTアートを購入してみたけれど、もし手放したくなったらどうすれば良いのだろうか?」
NFTアートの世界に足を踏み入れたばかりのあなたは、そんな疑問をお持ちかもしれません。初めてNFTアートを購入するだけでも少し勇気が必要だったのに、さらにそれを売却するとなると、また別の不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、NFTアートを安全に売却するための方法について、初心者の方向けに分かりやすく解説いたします。売却の仕組みから具体的なステップ、そして最も大切な「安全に取引するための注意点」まで、一つずつ丁寧にご説明しますので、どうぞご安心ください。
NFTアートの「売却」とはどういうこと?
私たちが普段、洋服や本などをフリマアプリで売るように、NFTアートもまた、専門の場所で他の誰かに「売る」ことができます。あなたが購入したNFTアートは、ブロックチェーンという特別な技術によって、あなたが「本物の持ち主」であることが証明されています。売却とは、この「持ち主である」という権利を、相手に譲り渡すことです。
NFTアートの売却は、主に「NFTマーケットプレイス」と呼ばれるインターネット上の場所で行われます。あなたが作品を出品し、買いたいという人が現れれば、そこで売買が成立します。
売却を始める前に必要なもの
NFTアートを購入したことがある方なら、既にお持ちだと思いますが、売却にも以下のものが必要になります。
- インターネットにつながったパソコンやスマートフォン
- 仮想通貨ウォレット:購入したNFTアートが保管されているデジタルなお財布です。
- NFTマーケットプレイスのアカウント:購入時に利用したマーケットプレイスをそのまま利用することが一般的です。
NFTアートを売却する具体的なステップ(OpenSeaを例に)
世界で最も利用されているNFTマーケットプレイスの一つであるOpenSeaを例に、具体的な売却の手順を見ていきましょう。マーケットプレイスによって画面の表示などは異なりますが、基本的な流れは共通しています。
ステップ1:NFTマーケットプレイスに接続する
まずは、売却したいNFTアートを保有しているウォレットを、利用するマーケットプレイス(例:OpenSea)に接続します。通常、購入時にウォレットを接続しているはずですので、その時と同じ手順で接続してください。
ステップ2:保有しているNFTアートを確認する
ウォレットを接続すると、あなたのウォレットに入っているNFTアート一覧が表示されるページ(例:OpenSeaのプロフィールページ)が見られるようになります。その中から、売却したい作品を選んでクリックします。
ステップ3:「出品(List item)」を選択する
選んだ作品の詳細画面が表示されます。画面の中に「Sell」や「List item」といったボタンやメニューがあるので、それをクリックします。これが「この作品を売りに出しますよ」という意思表示になります。
ステップ4:販売形式と価格を設定する
出品画面に進むと、どのように作品を売りたいか設定できます。主な販売形式は以下の二つです。
- 固定価格(Fixed Price):売りたい価格を自分で設定し、その価格で買いたいという人が現れたらすぐに売買が成立する形式です。例えば、「0.1 ETHで販売」のように設定します。
- オークション(Timed Auction):開始価格を設定し、決められた期間内で最も高い価格をつけた人に売却する形式です。フリマアプリのオークション機能と似ています。
どちらかを選び、売りたい価格(通常はイーサリアム(ETH)などの仮想通貨で設定します)や、いつまで出品しておくか、といった情報を入力します。
ステップ5:手数料などを確認する
価格などを設定すると、売却にかかる手数料が表示されます。主な手数料には以下のようなものがあります。
- マーケットプレイス手数料:マーケットプレイスの運営会社に支払う手数料です。OpenSeaの場合は取引価格の2.5%などが一般的です。
- クリエイターへのロイヤリティ:作品を制作したアーティストに支払われる手数料です。作品やコレクションによって異なりますが、売却価格の数%〜10%程度が一般的です。このロイヤリティは、作品が二次流通(最初に販売された後、別の購入者に売られること)するたびにアーティストに還元される仕組みです。
- ガス代(Gas Fee):ブロックチェーン上で取引を行う際に発生するネットワーク手数料です。売却時にも発生することがありますが、マーケットプレイスやブロックチェーンの種類、出品形式によっては、購入者が負担する場合や、最初の出品時にはかからない場合もあります。ガス代は時間帯によって大きく変動することがあります。
これらの手数料を差し引いた金額が、あなたの手元に残る金額となります。手数料の種類と金額をしっかり確認しましょう。
ステップ6:署名して出品を完了する
設定内容に間違いがなければ、「List item」(出品)ボタンなどをクリックします。すると、あなたのウォレットが立ち上がり、「この取引に同意しますか?」という確認画面が表示されます。「署名(Sign)」という操作を行うことで、「確かにこの作品をこの条件で売りに出します」という証明がブロックチェーン上で行われます。
署名が完了すれば、あなたのNFTアートがマーケットプレイスに表示され、他のユーザーが購入できるようになります。
NFTアートを安全に売却するための注意点
売却は購入と同様に、いくつかの注意点があります。安全に取引を行うために、以下の点に気をつけましょう。
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詐欺に注意する
- 偽の通知: 「あなたのNFTアートが売れました!」といった偽の通知がメールやSNSで届き、偽のリンク先に誘導される詐欺があります。公式のマーケットプレイスやウォレットの通知かどうか、URLが正しいかなどを必ず確認してください。
- 不審なメッセージ: 見知らぬ人から「この作品を高く買うから、別の場所で取引しないか?」といったメッセージが届く場合があります。マーケットプレイスを介さずに直接取引するのは非常に危険ですので絶対にやめましょう。
- ウォレットの秘密の言葉や秘密鍵は絶対に教えない: これらはあなたの財産を守る最も重要な情報です。どんな理由であっても他人に教えたり、入力させたりしてはいけません。
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価格設定は慎重に
- NFTアートの価格は常に変動します。過去の取引価格や、同じアーティストの他の作品価格、現在の市場の状況などを参考に、自分で納得のいく価格を慎重に設定しましょう。
- 高すぎると売れにくいですが、安すぎると損をしてしまう可能性があります。
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手数料を理解する
- 前述の通り、売却時には様々な手数料がかかります。これらの手数料を理解せずに価格を設定すると、「思っていたより手元に残るお金が少なかった」ということになりかねません。出品前に必ず確認しましょう。
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焦らない
- 出品してもすぐに売れるとは限りません。市場の状況や作品の魅力によって、時間がかかることもあります。すぐに売れないからといって焦って価格を極端に下げたりせず、様子を見ることも大切です。
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税金について知る
- NFTアートを売却して利益が出た場合、税金がかかる可能性があります。利益が出た場合は、ご自身の状況に合わせて税金について調べたり、専門家(税理士など)に相談したりすることをおすすめします。
売却後の流れ:仮想通貨から日本円へ
あなたのNFTアートが無事に売却されると、設定した仮想通貨(例:イーサリアム)がウォレットに入金されます。
その仮想通貨を日本円にしたい場合は、仮想通貨取引所に送金し、取引所で日本円に交換(売却)する必要があります。購入時に利用した仮想通貨取引所を再び使うことになります。
ウォレットから仮想通貨取引所への送金も、アドレスを間違えると資産を失うリスクがあります。送金手続きは慎重に行い、まずは少額でテスト送金してみるなどの方法で安全性を確認しましょう。
まとめ
NFTアートの売却は、購入と同じくらい一般的な取引です。仕組みや手順を理解し、特に「安全対策」をしっかり行うことで、安心して行うことができます。
- NFTアートの売却はNFTマーケットプレイスで行います。
- ウォレットを接続し、出品したい作品を選んで価格を設定します。
- マーケットプレイス手数料、ロイヤリティ、ガス代などの費用がかかることを理解しておきましょう。
- 最も重要なのは詐欺対策です。 不審なリンクやメッセージには絶対に反応せず、ウォレットの秘密の言葉は誰にも教えてはいけません。
- 売却で利益が出た場合は税金についても考慮する必要があります。
NFTアートは、ただ所有するだけでなく、売買を通じて新たな作品に出会ったり、コミュニティと交流したりと、様々な楽しみ方ができます。売却もその可能性の一つですが、焦らず、ご自身のペースで進めることが大切です。
もし、今すぐ売却する予定がなくても、こうした知識を持っておくことは、NFTアートの世界をより深く理解し、安全に楽しむ上で必ず役に立つはずです。この記事が、あなたのNFTアートライフの一助となれば幸いです。